妊娠後期の便秘は、慢性化すると出産時も辛くなります。妊娠後期は、それまで便秘に悩んでいなかったママも便秘になる可能性があります。
しかし妊娠後期は出産を間近に控え、お腹の反応もデリケートです。ママも常に胎動や張りに気を付けて生活します。そのため、腹痛があっても出産に関わる腹痛なのか、自身の便秘による腹痛なのか分からなくなります。
妊娠後期は赤ちゃんも胎動がはっきりわかるほどに動くので、たとえ便秘になったとしても「のの字」でお腹をぐるぐるマッサージするのもためらいます。お腹自体を押したり揺らすことが、赤ちゃんにダイレクトに伝わると心配になります。
赤ちゃんを優先的に考えると、ママは便秘を我慢しがちです。さらに出産に対する心配や、妊娠中の疲労がストレスとなり便秘を悪化させます。
妊娠後期は便秘を解消する方法が限られてしまい、便秘を解消しにくい時期です。
妊娠後期は、初期と中期に比べて運動時間の低下が目立ちます。早産や子宮口の開き具合によっては病院で、絶対安静を指示されることもあります。そうなると運動はできません。
赤ちゃんは、妊娠後期で一気に成長します。体重も増えて、足でお腹を蹴ると、ママのお腹の表面がグニッと動くほどです。妊娠初期と違い、体を伸ばさなくてもお腹がパンパンになるほどの大きさです。
赤ちゃんが大きくなれば、胎のうの上の胃腸は押し上げられます。胃が押し上げられると、ゲップが出るような感覚におちいります。腸が通常の場所から圧迫されると、腸の働きが鈍くなります。
腸の圧迫による便秘は、出産間近になると軽快しやすくなります。赤ちゃんが子宮口に向けて下がるからです。
妊娠すると、お腹に力を入れることを控えるようになります。赤ちゃんが苦しくなって辛いだろうと心配するからです。力を入れすぎると、赤ちゃんが出てきてしまうのではないかという出産間近ならではの不安もあります。
妊娠後期は大きくなったお腹でバランスも取りにくく、腹筋運動や、お腹に力を入れる運動を避けるので自動的に筋肉が取れていきます。ところが排便には腹筋が必要です。
妊娠後期は、いつ赤ちゃんが産まれるかを妊婦検診でも頻繁にチェックします。およその目安を考える時に、赤ちゃんが出てくる子宮口が開き始めているか、破水や異常がないか、赤ちゃんの体重はどの程度かを診断します。
赤ちゃんの成長ペースや体重によっては、未だお腹の中で育ててあげたほうが良いと判断することがあります。それでも子宮口が開いてきたり、赤ちゃんが子宮口に向かって下がり始めている時は安静が必要です。
妊娠後期のママによっては出産前から産院に入院することもあり、便秘だから運動をするべきだとはいえない状況もあるのが妊娠後期の特徴です。
妊娠後期は鉄分不足を指摘されるママが多く、鉄剤を処方されることがあります。鉄剤を飲んでいると一時的に便が黒っぽくなり、便秘にもなりやすいようです。
鉄剤を飲んで便が黒っぽくなるのは副作用では有名で、鉄剤服用中だけならば問題ありません。個人で反応は異なりますが、便秘や下痢、倦怠感をかんじることもあります。
黒い便が出るのは、鉄剤に含まれるヘモグロビン成分が便に混じり酸化状態になるので黒く見えるそうです。
便秘になるのは副作用とはいえ辛いものです。しかし出産間近の鉄剤処方は、出産時の出血による貧血を予防するためという目的があります。