高血圧、尿タンパク、むくみ(浮腫)のうちの1つ、もしくは2つ以上の症状が見られ、それが妊娠前から持っている症状でないものを妊娠中毒症といいました。しかし現在では産婦人科学会により名前も妊娠高血圧症候群に改められ、むくみは項目から外されています。
むくみは妊婦さんの約30%に見られすぐ妊娠中毒症に結びつけるのが間違いだとされたからです。しかし定義から外されたことを危険に思う専門家も多いようです。
症状が出やすいのは妊娠8ヶ月以降の後期で、約1割程度の妊婦さんが発症します。妊娠中期などに早めに発症した方が悪化する傾向があり重症になると母子共に大変危険な状態になります。
以前は妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)は後期に起こるつわりと考えたれていたようです。しかし最近はつわりとはまったく別物ということがわかりました。
原因については、はっきりとわかっていません。妊娠にうまく対応できない人がなることが多いと考えられ、妊娠によって起こる中毒症状と言われています。妊娠初期の胎盤が作られる時期に、母体が順応できずそれが後期になってから症状となって現れると考えられています。
*現在は定義から外されています。
むくみは生理的(一時的)なものと病気が原因なものにわけられます。妊娠中毒症の場合1晩休んでも、むくみが取れないのが特徴です。むくみの原因はからだの組織に水分がたまってしまうからです。妊娠後期には血液循環が増え(水血症)、むくみが起きやすくなります。朝起きたときにむくみが取れないようなら注意が必要です。
妊娠中は赤ちゃんに栄養を送っているため血圧が少し高めになります。妊娠中の高血圧とは最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上のことをいいます。(日本産婦人科学会)
尿に健康ならほとんどでないタンパクが現れることを尿タンパクといいます。妊娠中毒症のときには腎臓(尿をつくる臓器)の機能が低下してタンパクが漏れやすくなります。
検査は試験紙に尿をつけタンパクがどのくらい漏れているかを調べます。15mg/dl以下(~)、15~30mg/dl(±)で陰性、30mg/dl以上(+)出ていると陽性となります。
もともとこれらの病気に持っている人、あるいはかかったことのある人。また家族がこれらの病気を持っている場合も妊娠中毒症になりやすい傾向があります。
特に太りすぎの人は注意が必要です。太りすぎは心臓を圧迫し血圧を上昇させます。また痩せ過ぎの人も疲労やストレスをため込む傾向があります。
疲労やストレスをため込むと自律神経、腎臓機能が低下して尿にタンパクがでたり、血圧があがったりします。
特に高年初産の場合は妊娠糖尿病などの病気を併発しやすくなります。また若年出産の場合も統計的になりやすい報告があります。
母体への負担が他の人より大きくなります。各機能に負担をかけやすくその他の病気も引き起こしやすくなります。
経産婦より初産婦のほうに多く見られます。また過去に妊娠中毒症だった人は繰り返す傾向があります。
高血圧の家系、高齢出産、重い妊娠中毒症だった人の中には出産後も高血圧が続いたりタンパクが漏れたりすることがあります。
それまで症状がないのに1~2日のうちに突然むくみが出始め、症状が悪化して入院するケースも決して珍しいことではありません。いきなりむくみが出始め朝になっても取れないときには特に注意が必要で、健診をまたず医師に相談した方がいいでしょう。
妊娠高血圧症候群が重症になると分娩時に母子共に危険をともなう場合があります。そのときには経膣分娩は不可能で帝王切開になります。
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