はしかの流行拡大に注意。妊娠中の感染リスクと症状、はしかの予防接種についてわかりやすく説明します。
沖縄県を中心にはしかの感染が拡大しています。日本では2015年にWHO(世界保健機関)から土着のウイルスがない状態だと認定されましたが、今回は海外で麻疹(はしか)ウイルスに感染した人が国内に持ち込んで、広がっていることが特徴です。
2018年3月に台湾から沖縄にきた男性が、はしかと診断されました。そのあと沖縄にいった名古屋の男性が発症。その男性が受診した病院内でも感染が広がりました。
ウイルスの潜伏期間は10日ほど~3週間なので流行地域に旅行して、帰宅してから発症することも感染拡大の原因となっています。
はしかに感染すると38度前後の発熱と咳、鼻水やくしゃみ、目の充血がみられます。風邪症状と似ているので我慢しがちです。しかし肺炎や脳炎をひきおこす合併症もあるので悪化すると厄介です。
はしかは空気感染や飛沫感染、接触感染など様々な感染経路をもつ人から人へと麻疹ウイルスが感染することで発症します。はしかの抗体をもっていない人が集まった場所で麻疹ウイルスが感染した場合、インフルエンザウイルスよりも多数の感染者が出るとも言われています。(参考1)
ウイルス感染の場合、感染しても無症状で終わるウイルスもありますが、はしかは9割以上の感染者に症状がでます。感染力が強いので、まずは感染しないことが重要です。
妊娠中に心配なことは、妊婦健診で通院するときに院内感染することです。総合病院では受診する部屋は違っても、最後に支払いを済ませる場所が同じこともあります。はしか患者が来院する可能性がある病院に行くときは、混雑する時間をさけてください。
はしか対策には、ワクチンが有効です。はしかを発症しても72時間以内にワクチンを接種すれば、ある程度は周囲への感染予防ができます。
はしかの予防ワクチンは1978年10月から子どもを対象とした1回の定期接種となりましたが、現在は1回の接種では不十分だと判断されて2回接種になりました。1977年~1990年生まれの人は、はしかの予防接種が1回だったので免疫が低い可能性もあります。1978年以前は定期接種がないものの、知らずに感染して免疫がある人もいます。(参考2)
妊娠中ははしかの予防接種ができません。妊娠を考えている人や、これから妊娠する可能性のある人は早めに予防接種を考えてください。赤ちゃんへの影響を避けるため、予防接種あとは2ケ月妊娠を避けます。
妊娠中もはしか症状は同じように現れます。妊婦は抵抗力が落ちたり、つわり症状で食欲が減って体力が落ちているときは、はしか症状が強くでてつらくなることが心配です。
妊娠中にはしかにかかると、早産や流産をひきおこす可能性があります。早産は37週未満での出産なので、赤ちゃんが十分に成長しきれないまま産まれることになります。
妊娠中は、はしかを発症させないために流行地域へのお出かけは控えましょう。旅行計画を立てるときはその地域で流行している感染症はないか、各地の保健所のHPなどで確認したほうが安心です。
妊娠中は、はしかのワクチンを接種することができません。家族や周囲の人がはしかの予防接種をうけることで、妊婦と赤ちゃんを守ります。大人は母子手帳を振りかえって予防接種記録を確認してください。確認できないときは、はしかワクチンの抗体検査を受けることもできます。
はしかは飛沫感染や接触感染で広がります。はしか患者と握手しなくても、はしか患者の咳やくしゃみによる飛沫がついた手で触った電車のつり革や手すり、ドアノブを介して感染することも考えられます。
はしかのウイルスは非常に感染力が強いのでマスクや手洗いうがいだけでは100%予防できません。妊娠中は感染しやすい人ごみを避けて生活してほしいです。
参考1:NIID国立感染研究所
麻しんQ&A〔麻疹(ましん、はしか)について〕