実は最近の出生率は、2005年の過去最低の合計特殊出生率(ごうけいとくしゅ しゅっせいりつ)1.26からわずかながらも年々上昇していました。ところがここにきて変化がありました。
厚生労働省の人口動態統計によると、2014年の合計特殊出生率は1.42。2013年の1.43を0.01下回り、9年間上昇していた出生率にストップがかかりました。ちょっと難しい話にも聞こえますが、女性だけではなく皆で考えてほしい統計結果です。(参考1)
合計特殊出生率とは、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計して計算される、1人の女性が一生に産むこどもの平均数です。数字が多ければ、出産回数も増えていると考えられる判断材料の1つです。
ちなみに第一次ベビーブームと呼ばれる昭和22~24年の合計特殊出生率は4.3を超えていました。第二次ベビーブームと呼ばれる昭和46~49年頃の合計特殊出生率は2.14です。ここでも差があるので、出生率が減少していたのは現在だけではありません。
出生率の減少原因の1つは女性の晩婚と晩産が考えられます。女性の社会での活躍が増えることで、働く女性が結婚する年齢も変化しています。ただ、晩婚はそれだけ女性に選択肢がある証拠でもあります。結婚だけではなく、仕事や自分のやりたいことに打ち込める女性が増えているとも考えられます。
もう1つの晩産も、晩婚による影響です。女性にとって出産のタイミングは、周囲ではなく自分自身で考えたいものです。たとえ晩産であっても、女性自身が考えて決めた出産ならば時期の良し悪しはありません。
注目してほしいことは、晩婚・晩産になる理由です。女性自身が決めたことではなく、晩婚にならざるを得ない理由や、晩産にならざるを得ない理由があるのなら、社会全体で考えて改善していく必要があります。
出生率の数字だけで判断せず、出生率が伸び悩む原因を考えることが必要です。女性が結婚や出産を考えたり計画しやすい状況をつくることを、当事者だけではなく社会全体で考えていきたいものです。
共働き夫婦の場合、妊娠したいけれども仕事を休むタイミングや、やりがいのある立場を離れることで今後が不安になることもあります。
産休を申請しやすい雰囲気の職場や、理解のある職場だけとは限りません。周囲に迷惑をかけてしまうと思うと、妊娠のタイミングすら悩んでしまいます。もっと妊娠・出産に関わる休暇を理解してもらうことが解決のカギとなっています。
一方で、共働きの収入がへ減少してしまうことへの不安もあります。申請できる補助を、わかりやすく教えてくれる場が増えれば不安も減るはずです。
豪華な個室や、外食さながらの食事がクローズアップされていますが産科の数は、地域によってまちまちです。近所で産みたいと思っても、産科がなければどうしようもありません。
出産数が減ってしまうと、産院や産科医も減ってしまうので悪循環です。簡単に調節できない難しい問題です。
少子化問題について国でも様々なアクションがあります。ただちょっと難しくて、実際にどんなサポートがあるのか、どんな変化がもたらされているのかが解かりにくいと感じています。(参考2)
仕事もしたいけれど結婚して出産したいと悩んだら、「まずどうしたら良いの?」「仕事はどうしたら?」、そんな最初の一歩が踏み出せるかどうかに悩む時間をかけてしまいがちです。
妊娠・出産・育児と途切れない支援を目指す方針に期待しながらも、最初の一歩を踏み出すときに受けることのできる支援の例や、どんなところを頼ればよいのか、行政のサポートをもっと簡単に知ることができたら、妊娠や出産を具体的に考えやすくなります。
参考1:厚生労働省 人口動態調査
参考2:内閣府 少子化対策 出生率