妊娠初期のつわり症状が出ている時、お腹の中の赤ちゃんはどんな状態なのか、妊娠週ごとにわかりやすく解説します。つわり症状に悩んでいる時は、あてはまる妊娠週の項目を読んでください。つわり症状がつらい時は、赤ちゃんも成長している時です。
日本では最後の月経開始日から妊娠日数を数えるので、正確には妊娠1週目では赤ちゃんは子宮にたどり着いていません。でも、この1週目からママと赤ちゃんの妊娠生活が始まります。
妊娠2週目で受精卵になります。これが赤ちゃんの卵。妊娠2週目後半では子宮にたどり着いて、子宮内膜にくっつきます。
赤ちゃんは「胞胚(ほうはい)」と呼ばれる小さな種のような状態です。赤ちゃんが子宮内膜にくっつくことで、ママの体の一部と赤ちゃんが結び付いたことになりますね。
この時点では、つわり症状はあまり見られないようです。でも、早い人は女性ホルモンの増加で気分が変化したり、「普段とちょっと違う?」と感じることもあるそうです。
赤ちゃんは受精卵(じゅせいらん)として、ママの子宮内膜に潜り込んで、離れないように絨毛(じゅうもう)という細い毛の根をはりめぐらせます。
着床時に子宮内膜の組織と、受精卵がこすりあって出血することがあります。ママは月経かと思うかもしれませんが、これは着床出血と呼ばれるもの。1日だけの出血なら着床出血かもしれません。
着床が完了したら、月経はもうきません。だから生理周期のずれで妊娠に気がつき始めるママが出てきます。女性ホルモンの分泌量が増えるので、少しずつ、つわり症状が現れ始めます。
「だるい」「寝足りない」「やたらと疲れる」「急に吐き気がでてくる」なんて症状があったら、つわり症状の始まりです。
妊娠4週目では赤ちゃんはまだ、1mm以下の細胞の集まりです。子宮内膜に撒かれた小さな小さな種なのです。
ところが成長は著しく、妊娠4週目では胎盤と繋がるまで栄養を確保する「卵黄のう(らんおうのう)」が作られ、赤ちゃんの心臓になる素ができます。心臓が作られている間に、ママから酸素や栄養をもらうための血管や血液の素も作られます。
ママのつわり症状は、つわりと気がつくほどに毎日現れ始めます。疲れやすいけれど、赤ちゃんの心臓や血管が作られる時だと思えば、栄養と睡眠が必要だとわかりますね。
つわり症状でとまどうママも見られます。産婦人科で初めて内診を受けるママも多いので、精神的にも疲れたり動揺する時期です。
妊娠5週目では、赤ちゃんの手足や耳となるものが作られ始めます。5週目が終わるころには、赤ちゃんは、弓なりで背中を丸めて丸い頭の状態になっています。実はこの時は、おしりに尻尾のようなものがあります。心臓も血管も未完成ながら動き始めます。
つわりの影響で食生活が大幅に変化するママがいます。ご飯のにおいが苦手になったり、温かい湯気や香りで吐き気が出てしまいます。
つわりが原因で疲労が溜まり始め、昼間なのに強い眠気が止まりません。だるくてイライラしがちです。
妊娠6週目では、赤ちゃんの心拍(心臓の鼓動)を確認できます。目の原型が作られ始め、まずは目の表面になるレンズが出来上がります。
脳もハイスピードで発達して、赤ちゃんならではの頭でっかちな体型になり始めます。ママにとっては大変なつわり期に突入する頃ですが、赤ちゃんは週ごとに驚くほど成長し始めています。
ママは疲れが溜まり始め、仕事が普段よりも大変に感じたり、朝の起床時に不快感を感じてしまいます。つわり症状は嫌だけど、妊婦検診で心拍を聞くと励みになります。
赤ちゃんはというと、2頭身になり、胃や肝臓といった消化器官が形成され始めます。やっと心臓は全身に血液を送る準備が終わりそうです。なんと顔も形成され始めます。
妊娠8週目からは、おしりにあった尻尾のようなものも無くなって、身長3cmほどになります。これまでは医学的には「胎芽」と呼ばれていた赤ちゃんも8週目からは「胎児」と呼ばれるようになります。
手の形はハッキリして5本の指を作るための溝が発生します。目の上にはまぶたの原型となる膜があり、鼻になるパーツも形成され始めます。
どんどん赤ちゃんらしい体が作られる一方で、ママのつわり症状は一向に治まらない時期です。疲労もピークで、精神的にも不安が募りはじめます。赤ちゃんも成長が著しい時なので、一緒に乗り越える気持ちでいましょう。
ママは肌トラブルも気になる頃です。妊娠でホルモンバランスが変化するので、今まで大丈夫だった化粧品や洗顔フォームで肌荒れすることもあります。これも妊娠ならではのトラブルです。
つわり症状には慣れる頃ですが、不快感から調理など家事ができないことはストレスです。周囲の理解がないと、妊娠という言葉で甘えていると勘違いされることもあります。でも、お腹の中の赤ちゃんは立ち止まらずに成長しています。
赤ちゃんはというと、脳の発達が目立つ時期です。心臓は形が整って、手に続いて足の先に指を形成するための溝が現れます。時々、手足を揺らしたり動かすこともあり、エコー検査では赤ちゃんの成長がわかって安心できます。
妊娠10週の赤ちゃんは手足の爪となるもとが発生します。胴体も伸びて、ますます赤ちゃんらしい体型に近づきます。そして男女の区別である睾丸と膣が発達し始めます。エコー検査ではまだ性別が解らないことも多いので、気長に様子をみましょう。
ママは食生活の変化が続いて、体力低下が心配です。つわり中は栄養バランスを考える前に「食事をすること」が大切です。ママの体力が不足してしまうと、つわり症状を乗り切れません。今、食欲がでないママは栄養バランスを忘れて好きな食事を摂ってみましょう。
特に、嘔吐が治まらないママは水分摂取が大切です。水分の多く摂れる果物やスープもおすすめです。
妊娠11週頃はつわり症状もピークを迎えつつあります。つわり症状が目立つママにとっては、仕事を休んだり家事ができない自分を負い目に感じている人もいます。でも、つわり症状はもう峠半分を越えていると思って、もう少し頑張ってみましょう。
赤ちゃんは、3頭身になります。そして羊水を飲んで、おしっことして排泄する動きも見られます。へその緒を介して、胎盤からママの栄養や酸素も受け取り始めます。赤ちゃんも自分で栄養補給や排泄を始めることは、ママにとって感慨深いものです。
妊娠12週からは、つわり症状が落ち着き始めます。まだ症状が強く出ているママも焦らないでください。つわりは十人十色です、妊娠12週から徐々に治まる人もいれば、18週までかかる人もいます。どちらにしても、母体と胎児が健康ならば大丈夫。
赤ちゃんはついに、心臓や消化器官などが形成完了します。これからは、それぞれの中身を発達させます。つわりが峠をこしても、赤ちゃんの成長はまだまだ続きます。