最終月経8日目~排卵日
妊娠1週になっても、おなかの中に赤ちゃんは芽生えません。しかしこの妊娠1週の期間には、身体の中では驚くほどの変化が起こるのです。
妊娠は女性の卵子と男性の精子が1つになり、受精することによって始まります。その女性の卵子が急成長するのが、この妊娠1週の期間なのです。
赤ちゃんの卵は子宮の横に2つある卵巣で成長しています。そしていよいよ受精の準備が整うと、精子が待つ卵管へと排卵します(*月経周期が28日の人は月経開始から14日目あたりが排卵日)。卵子の寿命期間は1日程度しかありませんが、このときにうまく精子と出会えれば受精が成立するわけです。
排卵前の1週間は妊娠するために最も大切な週です。この1週間に行為を持たない限り、妊娠はありえません。(例外として卵子の寿命期間を考え排卵後1日を入れる)
実際には精子の寿命期間は2日~3日程度しかありませんので、排卵前の2日~3日が最も大切になります。つまり「最も妊娠しやすい日」とは、精子の寿命期間がある「排卵前3日」と「排卵日」、そして卵子の寿命期間1日を足した計5日間になります。
*精子の寿命には個人差があり、7日以上も生存するデータもあります。しかし一般男性の平均日数で言えば上記の通りになります。
卵子と精子が出会えば必ず妊娠するのでしょうか?
多くの人が勘違いしていますが、妊娠の確率はそんなに高いものではありません。
健康な男女が排卵日にタイミングを合わせても、妊娠の確率は20~30%しかありません。さらに重要になる年齢、ストレスなどの心因性、病気や疲れなどの体調面、あるいは不妊原因が関わり、実際はこれよりもっと低い数字となります。
妊娠を望んでから、妊娠するまでの平均期間は約半年間と言われています。妊娠するかどうかは「運」的な要素が強く関わっていて、この平均の半年間より短いか長いかは試してみなければ分かりません。
「子供は授かりもの」と言われるのには、こういった要素が強く含まれています。つまり決して赤ちゃんは大人の都合では、やってこないのです。
今現在で赤ちゃんを望んでいる人、いない人の両方に言えることですが、妊娠の確率の低さに「そんなものなのか」と思うかもしれません。しかしサイコロを振り続ければ、いつかは必ずすべての目が出ます。つまり1回ごとの目先の確率ではなく、長い目で見た確率論を考える必要があるのです。
月経周期の中で、排卵前の1週間ほど忙しい時期はありません。それは脳と卵巣から排卵に向けて、多くのホルモン変化が起こるからです。
女性の生殖機能はホルモンによってコントロールされています。先ほど説明した「赤ちゃんの卵」が成長するのも、排卵するのもすべて女性ホルモンのおかげなのです。
子宮を妊娠しやすい状態に整えてくれるホルモンです。卵胞ホルモンは卵巣から分泌され、子宮内膜を肥厚させて赤ちゃんのためにフカフカのベッドを用意してくれます。
排卵後に受精卵の着床を助けてくれるホルモンです。黄体ホルモンは卵巣から分泌され、着床を助けて妊娠後には子宮を常に赤ちゃんのために整えてくれます。
卵胞の成長を促すホルモンです。卵胞刺激ホルモンは下垂体から分泌され、卵巣に働きかけて卵の成長を促します。
卵子の排卵を促すホルモンです。黄体形成ホルモン(黄体化ホルモン)は下垂体から分泌され、卵巣に働きかけて卵の排卵を促します。
卵子と精子と出会わなければ、妊娠しやすいように肥厚していた子宮内膜が、きれいに剥がれ落ちます。この剥がれ落ちる内膜が生理による出血で、そして再び次の排卵に向けて卵の成長が始まるのです。