妊娠中のヘアカラーの使用の安全性について、胎児への影響や、頭皮や髪へのダメージについてもわかりやすく説明します。カラーリングしている妊婦は出産に向けて、もう一度カラーリングするべきか髪色を戻すべきか悩んでしまいます。
よく見かけるカラーリング剤の成分について、どんな成分が、どんな働きをしているのかを1つずつわかりやすく解説します。妊娠中の自分の髪に使用するかどうか考えてみましょう。
販売されているカラーリング剤の種類によっては別の成分が使用されていたり、美容室ではプロ用の液剤が使用されていることもあります。そのときは改めて、安全性を確認してください。
酸化染料をしようしたカラーリング剤は、酸化染毛剤(さんかせんもうざい)と呼ばれます。これが髪に色をのせる成分です。カラーリング剤でいう1剤に配合されています。
酸化染料として配合されている染料が、酸化すると髪に色をつけて見えるようになり、毛髪に停滞します。シャンプーを重ねるたびに色が落ちるのは、この酸化染料が落ちていくからです。色の持ち具合は製品によって異なりますが2~3ヶ月が多いようです。
国内メーカーのカラーリング剤に使用されている酸化染料は、国内の医薬部外品として認められている成分です。何十種類とあります。認められた成分といっても、皮膚へのダメージもあります。敏感な人はかぶれたり痛みを感じます。
パラアミノフェノール・・・オレンジ系やイエローゴールドのカラーリングに使用されます。
パラフェニレンジアミン・・・ピンク、レッド系のカラーリングや白髪染めにも使用されます。きちんと洗い流さないと、手荒れが酷くなることもあるようです。
硫酸トルエン‐2,5‐ジアミン・・・いったいどんなものかと思うような名前ですが、これも染料です。アッシュやバイオレット系に効果的で、白髪染めではあまり効果が発揮されません。ゴールド系や他の色をだすときは、ほかの染料とセットで配合されています。
アルカリ剤またはpH調節剤(ペーハーちょうせつざい)は、キューティクルを意図的に開きます。開いた部分に染料が浸透して色を定着させるのです。
一般的なホームカラーリング剤は酸化染料とアルカリ剤が1剤の主成分です。アルカリ剤でキューティクルを開き(とゆうか穴を開けるような感じです)酸化染料が着色するコンビネーションです。
ただし、アルカリ剤が強いと色づきが良くなる半面、キューティクルへのダメージも大きくなります。だからアルカリ剤の効果を弱めたカラーリング剤もあり、弱酸性(じゃくさんせい)と表記されています。
弱酸性のヘアカラーは、アルカリ効果を少なくしたぶんキューティクルを痛めません。そのかわり染め具合も弱くなりがちです。
妊娠中に使用するなら、弱酸性のほうが地肌や髪へのダメージも低く安心です。その代わり染める効果が低いので、妊娠中ずっとカラーがもつことはありません。色によっては産後にプリンヘア‐が目立ってしまうことも考えられます。
過酸化水素水(かさんかすいそすい)は、カラーリング剤でいう2剤の主成分です。髪のもっているメラニン色素を分解する働きがあります。メラニン色素が分解されると、髪は脱色するのでカラーがつきやすくなるのです。
過酸化水素水とは別名「オキシドール」。オキシドールは脱色のときに使用される成分で漂白剤のようなものです。脱色と聞くと、金髪にすることを思い浮かべますが、色を染めるだけのカラーリングでも効果が低いものの同じような作用が働いているとわかります。
市販のホームヘアカラーでは過酸化水素水は一律ですが、美容室では2剤の過酸化水素水の濃度を調節して、明るくしたいところとあまり色を変えないでよいところの調節をしています。だから美容室ではバランスよくカラーがつくのです。
難しい名前ですがカラーリング剤では2剤に配合されていて、1剤でキューティクルを痛めてしまった髪をトリートメント効果で落ち着かせてくれます。よく、ホームカラーリングをした直後の髪がサラサラになっているのは、この成分などの効果です。
気をつけたいのは、ステアルトリモニウムクロリドは一時的なトリートメント効果だということです。ステアルトリモニウムクロリドが静電気をおさえてカラーリング仕立ての痛んだキューティクルを保護してくれますが、補修効果はありません。キューティクルの痛みを治す効果はありません。
実はカラーリング剤は様々な成分を配合しているので、配合によってとても臭いがきつくなります。特にアンモニア臭が目だちます。
カラーリング剤は顔の近くで使用するので、不快感が減るように香料で臭いを調節しています。
国内商品の市販のカラーリング剤は、使用前のパッチテストを勧めています。
パッチテストとは皮膚アレルギーの有無を確認するために、一部で試してみることです。実際にカラーリングする48時間前に行います。
もちろん妊娠中もパッチテストは必須です。特に肌質やホルモンバランスが変化している妊婦は、妊娠前は大丈夫だった成分でもかぶれたり、不快症状が出る可能性があります。肌の一部で試して問題があったら使用を控えます。
カラーリング剤を頭髪に使用することで悪影響を及ぼす成分は使用されているわけがありませんが、妊婦への安全性は実際に妊婦で治験して確かめているわけではありません。
そう考えると「絶対に大丈夫!」とは言われていないのです。でも「絶対に胎児に影響がある」とも言いきれません。
ただ皮膚トラブルがおこりやすいのは事実です。「今まで大丈夫だった商品を使ったのに、妊娠したとたんに地肌がヒリヒリする」なんてこともあります。
頭皮にも血管があるので成分が浸透して、胎児にまで届いたらと心配する妊婦もいます。これも心配ですが、医学的にはカラーリング剤が血液を通して胎児に届く根拠は立証されていません。逆を言えば、そうとも言えるしそうとも言えないといったところです。
ダメージがあるとは断定できませんが、もしも、あなた自身が母体や胎児への影響を心配しているなら産後まで待ちましょう。
また、もしも安全性を確認してカラーリングをするようなら、妊娠初期は母体も安定せず、つわり症状も出やすいので安定期までは避けることをおすすめします。美容室では必ず妊娠中だと伝えてください。